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ムシバナシの雑記帳

日々雑感あれこれです 日課は踏台昇降と読書少々、朝のしらすご飯と焼海苔

『日航123便墜落 疑惑のはじまり 天空の星たちへ』青山透子  

2010年に出版されたものの改題・復刊版ということで、先月読了した『日航123便 墜落の新事実 目撃証言から真相に迫る』より先に読むのが良いと思う。

導入章では著者が客室乗務員となり、新人時代の苦労話など業界裏話的に楽しめる。
そしてあの夏の事故で先輩乗務員達を永遠に失い、時を経て事故の真相を追うようになる。
著者は早くに日本航空を退職し、教育に携わるようになるのだが航空業界を目指す学生達とのやりとりがこの本の見せ場ではなかろうか。
当時を知らない学生達に日航123便墜落事故に関して調べよと課題を与え、学生達がそれぞれに当時の新聞や関係者にあたって考えて見えてくるもの。
例えば事故当時の「中曽根首相の行動」を徹底して調べ上げるなど、着眼点が秀逸だと思う。

また、1994年から契約社員制度を導入した結果、客室乗務員達のモチベーションが下がり、結果的には何よりも大切な安全が脅かされる状況へとつながったことも見えてくる。これはどの業界でも当てはまるのだろう。

大切な仲間を亡くした被害者であり、会社に属する加害者側の立場でもある、この方にしか書けない重厚な一冊だ。
いや、加害者と書いたが1990年に時効を迎えたこの事故(事件)は、誰も刑事責任を問われることなく幕引きとなったそうだ。520人も亡くなったのに。

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今週末は福山シネマモードで『BEYOND THE WAVES』上映会  

監督はベルギーの方で、山本太郎さんのドキュメンタリー映画です。
予告動画、料金等詳細はリンク先↓を御覧ください。
2/16(土)山本太郎を通じて現代日本が見える!ドキュメンタリー映画『BEYOND THE WAVES』@福山

前売券はまだあるそうですよ。

↓画像をクリックすると拡大します。
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category: 映画館・上映会など

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『不在』彩瀬まる  

売れっ子の漫画家の明日香は、駆け出しの年下俳優、冬馬を養う。
長年疎遠だった父親亡き後相続した“お屋敷”。整理されゆく遺品とは逆に、とっちらかっていく明日香。

いやー、主人公に共感できないのはちょっと辛いね。読者の負の感情を引き出すのが狙いなのだろうか。
お金は稼げているし、職業柄言葉を扱うのはうまいし、未熟さが見えにくいのだが、その冬馬にしてやってる感が、もう。いつの時代のオヤジかという。
とは言え、まっとうに成長しそこねたのは明日香自身だけの問題でもないので、前に進むべく足掻く姿はちょっと応援したくなる。

他者(この場合は明日香)を疎む時はその他者に自分の嫌な面を見ているからともいうが、自分の中にもそういう部分が?と考える機会にはなった。
登場人物ほぼ全員が少しずつズレていて、不安定な感じがやや不快ではあるのだが、その割には一気に読了。

著者 : 彩瀬まる
KADOKAWA
発売日 : 2018-06-29

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『ドライブインまほろば』遠田潤子  

のどかな題名とは裏腹に、いつも通り壮絶だった。子供絡みというのはしんどいよね…。
チンピラな人達も登場するので一般人からはやや遠いお話になってしまいそうだが、実はそうでもないのかな。
次々と新たな事件が起こる(コトもあるが)のではなく、遡り引きずり出される過去の出来事が酷い。負の連鎖というクサリの強固さは絶望的ではあるが、救いの道も残されている。

強烈キャラクターだったのはある母親で、ねっとりと絡みつくように、無自覚に悪意なく娘を蝕む様はなかなかのおぞましさ。

愛を知らずに育った子供の、その未来の物語も読みたい。
疲弊するがやめられない、中毒性のある作家さんだ。女性版天童荒太…んー違うか?

著者 : 遠田潤子
祥伝社
発売日 : 2018-10-11

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『冷血』(上)(下)髙村薫  

久し振りに手にとった髙村薫作品。
硬質な文章は惚れぼれしますね。心理描写だけだなく、手紙や警察の調書など書類等の精巧さ、選び抜かれた言葉・表現を組み立てて作り上げた髙村ワールド、そう言えばこういう感じだったかなと没入した。

上巻の前半は、話の行先も見えず心構えが出来ていなかったのでやや忍耐力を要した。執拗なまでに登場人物たちの頭の中身が描かれ、読み手としても混沌としたまま、そして物語が動き出すと一気に流れ出す。
途中やっと気づいた。合田雄一郎(刑事)シリーズだったのか。

訳の分からぬ犯罪も、訳が分かりませんでは済まないのでなるほどこのようにして形作られ言葉に置き換えられ、書類が作成されて犯罪者は裁かれていくのだということが興味深かった。

残虐な事件を起こした犯人だけが冷血なのか、そこに至るまでに関わった人々、至った後に関係する人々は。
輪郭のない人々の心のうそ寒さがずっしり重い読後感。
被害者達にイマイチ感情移入出来なかったのはなぜだろうか。

著者 : 高村薫
毎日新聞社
発売日 : 2012-11-29

著者 : 高村薫
毎日新聞社
発売日 : 2012-11-29

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