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ムシバナシの雑記帳

日々雑感あれこれです 日課は踏台昇降と読書少々、朝のしらすご飯と焼海苔

『薄紅天女』荻原規子  

空色勾玉』『白鳥異伝』に続く勾玉三部作の三作目。

日本語が、描写が美しい。行間から立ち上る時代や自然の空気感にわくわくする。
三冊の中では一番好みだ。歴史上の人物も登場し、前2作よりも現世との距離がつまったように感じられる。おお、この人物はあの人だったのか!みたいな楽しさも。
日本史がわかればなあ。若い頃というか子供の頃は「勉強なんぞ何のためにするのだ」と思いがちだが、理由の一つには人生を楽しむため、だよね。映画も本も美術館も、きちんと下地がある程に楽しめるのは間違いない。
勿論、歴史小説ではないので素養がなくても十分楽しめる。十代の頃に出会いたかった本だが、まだ出版されていなかったようだ。

出自や家柄など環境と運命に翻弄される子供達が意志を持ち、自覚的に道を選び切り開いていく様は心打たれる。
主人公が少年達というのも抑えがきいていて良かったのかな。準主役の少女も前2作のヒロイン達よりも考え深く、好感が持てた。

著者 : 荻原規子
徳間書店
発売日 : 1996-08-01


余談ですが、蚊の季節になりましたね。
今年に限らずだが、盛夏には鳴りを潜める虫達も最高気温が28度くらい(だと思う)になると動き出す。活発に。
ああ、かゆいよ。
ハエトリグモがヒョコと腕に乗ってきたり、天井からスルーと降りてきたりするのは良い。
腕がチクとするので見るとアワダチソウグンバイがくっついていた。刺すのか?

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『白鳥異伝』荻原規子  

このシリーズはどれも分厚い(600頁くらい)のが良い。私の好きな分厚い本。壮大なファンタジー、様々な形の愛。二晩で読破(←大ゲサ)した。
空色勾玉』に続く勾玉三部作の二作目。半年しか空けていないのに、内容は忘却の彼方。Wikiで復習した。シリーズものは続けて読むのがいいね。続き物ではないようだが、きっと前作とのつながりが潜んでいるのだろうから。
ヤマトタケル伝説をもとにしているので、古代・神話にあかるいとより深く楽しめそう。

遠子(とおこ)のはねっ返り具合が徹底していて主人公としてはギリギリかもと思ったりもするが、10代の方が読めば納得の等身大なのか?
七掬(ななつか)のような強く包容力のある大人キャラの登場場面にはホッとする。

伊津母(いづも)、日牟加(ひむか)、日高見(ひだかみ)…地図があればありがたかったかな。
著者 : 荻原規子
徳間書店
発売日 : 1996-07-01

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『絶望図書館』頭木弘樹編  

副題によると、気持ちが落ち込んだ時に心に寄り添ってくれるらしい。落ち込んではいないが読んでみた。
複数作家の短編集…アンソロジーというのはあまり手に取らないが、どれも初めて出会う物語でなかなかおもしろかった。

筒井康隆/『最悪の接触(ワースト・コンタクト)』のちぐはぐ感は既視感があった。国会中継を見ている時や、しつこく間違い電話してくる中古車販売店の担当者と意思疎通がままならない感じ。
絶望的な話を集めたのではないと前書きにあるが、ウィリアム・アイリッシュ/『瞳の奥の殺人』はあまりにも絶望的な話だと思うが…。わかっているのに自分には運命を変えられない絶望。

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『いきものをとむらう歴史 供養・慰霊の動物塚を巡る』依田賢太郎  

〇〇塚ね。どこかで見かけると気になるよね。
動物塚の歴史と意味、日本全国に建立する動物塚の紹介など、地味ながらもおもしろい一冊だった。塚にまつわる由来・伝説は読み応えあり。

例えば、伊勢参り犬の墓(山梨県上野原市)。安政五年十月生まれオスの甲斐犬が、伊勢参り犬と書いた札をつけて長旅伊勢参りへ。神官からお札を戴き、五十余日目に無事帰着し、伊勢と名づけられた、という話なのだが。
「伊勢参り犬」と書いた札をつけたイヌが伊勢参りですよ。おもしろすぎる!いや、何か隠された物語があるのかと思ったりもするがここはそのまま解釈して、伊勢参り犬のロードムービーを妄想する。

もう一つ選ぶなら、蟹塚碑(兵庫県明石市)かな。
平安時代初頭。キツネがカニのお面をかぶって道行く人々を襲う→近くの池に棲んでいた大蟹は、キツネの悪行を知って怒り、キツネと戦う→カニ勝利→勢いづいて人々を襲い始めた→弘法大師がカニをなだめ、岩に閉じ込めた。
無茶苦茶。「カニはキツネを負かしたものの勢いづいて人々を襲い始めた」ですからね。無駄に好戦的というか、凶暴なカニだったのだね。

縄文人がイヌを食用にした形跡はなく、死んだイヌは丁寧に屈葬した。弥生時代の遺跡からは食用に供されたイヌの骨が出土し、逆に埋葬されたイヌの骨は出土しない。縄文と弥生の変わり目はどんなだったかと想像したり。

子供の頃、庭に金魚のお墓を作ったことを思い出した。

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『熱狂なきファシズム ニッポンの無関心を観察する』想田和弘  

ああ、無関心か。無関心、が知りたい。無関心の何かを知りたい。
などと薄らぼんやり思いながら図書館の蔵書検索キーワードに「無関心」と入力した。その中に見つけた本。

今の日本の政治あれこれに関心のある人もそうでない人もぜひ。
映画論もおもしろいです。紹介されいる映画、どれもこれも観たくなる。

宇都宮健児氏や平田オリザ氏との対談も収録されており、一層濃い。

黙っていることも政治的な行為ですよね。現在の世の中の傾向などに対して何も言わないことは、それを黙認することですから。(186頁)

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