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ムシバナシの雑記帳

日々雑感あれこれです 日課は踏台昇降と読書少々、朝のしらすご飯と焼海苔

『日本ぶらりぶらり』山下清  

昨秋、汽水空港さんで買った一冊。図書館本を優先して読んでしまうので、買った本はどうしても後回しになってしまう。
その汽水空港さんの眼前に広がる東郷湖がこの本に記されていた。なんと。

初めて読んだ山下清、しょっぱなから引き込まれた。目方(重量)の話で、女性の目方が気になって仕方ないらしく作中ちょいちょい目方絡みの場面が登場する。

飾らない価値観のまっすぐな表出や、敬体と常体の混じる文章、次々と湧き出す小さな疑問など、魅力的な旅行記だった。
しかし式場隆三郎(世話人・精神科医)によるあとがきで文章に関する種明かし(?)があり、ちょっと複雑な気分に。ネタバレとは違うかもしれないが一応伏せておきます。
他にも読んでみようかな。

著者 : 山下清
筑摩書房
発売日 : 1998-04-01

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『日航123便墜落の新事実 目撃証言から真相に迫る』青山透子  

これだけの目撃情報がありながら。
同じ事故(事件?)が今の時代に起こったならば、映像や録音も多く残っただろうし、小さな情報も集まり解明の一助になったのだろうな。

著者は元日本航空客室乗務員であり、“あの日”に何人もの仕事仲間を失った。
おそらくネット上では陰謀論・都市伝説的に様々な説が流布しているのであろうが、名前と身元を表明してとことん取材して書かれた本というのは重みがあると思った。

事故であれ事件であれ、遺族や関係者達の心内の疑義をゼロするためにも徹底的な調査・究明は絶対に必要だろう。
「地元群馬県上野村の小中学校の文集に寄せられた子どもたちの目撃証言」も紹介されているが、事故(件)直後に学校(校長)が生徒達に書かせた作文ということだ。すごいね。

余談だが作中登場する“習志野駐屯地(千葉県船橋市)の落下傘部隊「第1空挺団」”は、陸自唯一の落下傘部隊らしい。
遠い空をパラパラと落ちてくる落下傘、子供の頃に何度も見たのを思い出した。オレンジ色の空のイメージなので、夕方だったのか。高校生にもなれば自衛隊祭りに行くとか行ったとか、そういう話題も耳にした。結構身近だったのだ。
その第1空挺団が墜落現場に救助に向かうべく出動待機していたにもかかわらず…という出来事もあったのも知らなかった。
物理的に距離が近かった存在の方達(習志野自衛隊)があの事故(件)に大きく関わっていた(というか関われなかった)と知り、よりリアルに感じた。

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『鏡の背面』篠田節子  

薬物やDV被害者の女性たちが暮らすシェルターで発生した火災。「先生」こと小野尚子が入居者を救い死亡するが、「小野尚子」として死んだ遺体は、別人のものだった。

しっかり怖がらせてくれる場面も少しあるが、ホラーではなくサスペンス。
主軸は聖母と毒婦だが、シェルター入居者達のそれぞれにも目を向けると苦しみと悲しみがあまりにも重い。本の中の出来事にとどまらず現実世界にも少なくない話なんだよね。
聖母はなぜ聖母になり得たか。毒婦はなぜそこまで堕ちたのか。それぞれに理由があり、そこに本人達の資質が適合するとこうなるのかな。

期待に違わず楽しめた。女達の冷ややかな本音に「フフ。わかる…」と頷いたり。

著者 : 篠田節子
集英社
発売日 : 2018-07-26

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『スターリン 赤い皇帝と廷臣たち』〈上〉〈下〉 サイモン・セバーグ・モンテフィオーリ 染谷徹(訳)  

長かった。年末読了を目指したが、年越し2日でようやく。
上下巻で1300頁超。寝転がって読むには分厚いが、電子辞書必須という意味でも机上で本を開く必要があった。読書というか、閲読感覚。

続きは折りたたみます。本の画像の下からどうぞ。(スマホ画面では折りたたまれません)


著者 :
白水社
発売日 : 2010-02-01

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『君たちはどう生きるか』吉野源三郎  

1937年発行の、新装版。
「偏狭な国粋主義ではなく、ヒューマニズムに根差し、自分の頭で考えられる子どもたちに育てたい。そんな思いから、吉野氏は、この本に着手したのです」と池上彰氏が前書きに記されている。
その部分は全章に通底していたと思うので、伝わった。

うーん、しかし。おそらく良書と評される一冊なのであろうが、今の私には響かなかった。
10代の頃ならまた違っただろう。
図書館で100人超え数ヶ月待ちだったので何かで話題となったのだろう。書店の平積みもあちこちで見た。
子供の頃、話題作『E・T』を観た後に「そ、そんなに良かったかな」と思ったような気がするが、そんな感じ。
そもそも、漫画版を予約したつもりが取り置かれていたのは小説版だった。
後半は斜め読みしてしまった。

父親を亡くした15歳のコペル君(という愛称)と叔父さん(コペル君のお母さんの弟)は大の仲良し。
コペル君の相談事に叔父さんが指南する、という流れで物語は進む。都度、叔父さんはノートに教えや考えを書き記す。いつかそのノートをコペル君に渡す為に。

そのノートに書かれた部分が著者の思想かと思われるが、それを叔父さんに語らせて(書かせて)しまったのが小説として違和感があったのだと思う。まどろっこしいというか。
交換日記や手紙のやり取りではいけなかったのだろうか。
叔父さんのように言葉を尽くして後世若者に伝えるという姿勢は素晴らしいし大人として必要なことだとは思うのだが、語り過ぎなのだ。(だからくじけて斜め読みした)

決して叔父さんのキャラクターに問題があるとかではないのだが、何が引っかかるのかと考えた。
あー、叔父さんがどういう人なのか見えないからかな。叔父さんの経験から得た思想という感じではなく(何しろ大学を卒業したばかりの博識な若い叔父さん)、道徳の教科書を読んでいるような。
まあこれは求めすぎかもしれない。
しかしそれならば小説・物語としてではなく吉野氏の随筆としてならば読みやすかったような気がする。

コペル君に「立派な人」になって欲しい(亡き父の願いでもある)とか、ナポレオンの英雄的精神など色々と考えたくなるキーワードは多い。
コペル君の学校での出来事や、悩み考える場面は児童書らしくおもしろかった。
(友人のお姉さんが)「女の癖に、ズボンをはいているのです」とコペル君が驚いてみたりと時代のギャップもまた。

帯に「中高生に一番読んでほしい本」というコピーがあるが、大人が10代の方に贈る場合は自身が一読して納得の上、が良いと思う。

マガジンハウス
発売日 : 2017-08-24

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