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ムシバナシの雑記帳

日々雑感あれこれです 日課は踏台昇降と読書少々、朝のしらすご飯と焼海苔

『苦海浄土 全三部』石牟礼道子  

著者が2月に亡くなられ、改めて通読した方も多いのではないか。
私はと言えばやはり読んでおくべきかと初めて手に取り、その厚さに唸った。「苦海浄土/神々の村/天の魚」の三部作が一冊に収録されており、1140頁。
水俣病。小学生の頃に教わったと思うが、東日本大震災以降、折りに触れ思い出していた。漠然とではあるが。

壮絶で克明な聞き書き、不知火海に生きる人々の日々を綴った記録文学であり、何かとても大切なものに満たされたような不思議な読後感を得た。
そして、これほどまでに日本語は、表現とは豊かだったのかと心震える思いで頁をめくり続けた。

被害者を排斥する地域社会、加害者企業(チッソ)による事件隠匿。
被害者と対峙した政務次官は「患者の言葉じりをつかまえては大声で逆につめ寄り、ある患者は口を閉ざし、婦人は泣き出してしまった」。
「私たちいなか者は、厚生省は国民のことを考えてくれていると思っていた。次官さん、あなたのことばはひどすぎます。私たちは犠牲者です。やわらかいことばでしゃべってください」と患者に言わしめた政務次官とは、橋本龍太郎厚生政務次官(32)のことです。後の内閣総理大臣ではありませんか。
筆舌に尽くし難い腹立たしい場面なのだが、直接でななくとも知る人の名前が出てきて、一気にこの事件がこちら側に迫ってきた。

チッソの幹部と直接自主交渉する患者グループのリーダーである川本輝夫氏は、水俣の山城博治さんのようだな。いや、博治さんが沖縄の川本輝夫氏なのか。

読書好き嫌いに関わらず、日本人が生涯一度は読むべき一冊だろう。辞書を傍らに。

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